第1回「血管の病気について」

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1.はじめに

 昔からよく「ひとは血管とともに老いる」と言われています。正確には“A man is as old as his arteries.”〔人間は動脈とともに老いる|ウィリアム・オスラー(1849~1919)〕がもとで,動脈硬化が人間の老化と強く関連していることを物語っています。日本の三大死因に挙げられる,がん・心臓病・脳卒中に関しても,心臓病・脳卒中の多くは血管の病気が原因です。この「血管の病気」に関して,日頃の診療の中でお話させていただいている事柄を含めて,数回にわたって述べさせていただきたいと思います。もしかして,あなたが日頃から気になっている症状は,血管の異常によるものかも知れません。

2.血管の病気の分類

 血管には大きく分けて動脈と静脈があります。「動脈には酸素を含んだ赤い血が,静脈には酸素を消費した黒い血が流れている」と思われている方も多いと思いますが,心臓に戻ってきた黒い血を肺に送る血管を肺動脈といいますし,肺で酸素をもらって真っ赤になった血が心臓に戻ってくるのは肺静脈ですから, 「動脈は臓器に血を送る血管,静脈は血の帰り道」というのが正解のようです。ただ門脈といって,腸から栄養分を集め肝臓に送る血液(静脈血)の通る特殊な名前の付いた血管もあります。また無名動脈,無名静脈といって名前のないことが名前になっているおかしな血管もあります。

 では血管の病気にはどんな種類があるのでしょう。難しい分類がいろいろありますが,最も分かりやすい分類をお教えします。それは「つまる病気」と「ふくらむ病気」という分類です。動脈がつまると,その先の臓器が壊死を起こす場合があります。これが「・・梗塞(こうそく)」(脳梗塞や心筋梗塞など)といわれる病気です。では血管がふくらむとどうなるでしょう。特に動脈では血圧が高いために風船のようにふくらんで破裂してしまいます。これが動脈瘤(どうみゃくりゅう)という病気で,全身のどこの動脈でも起こりえます。  また,最近はサッカー選手で有名になった静脈の中に血栓(血のかたまり)ができ,肺に流れていってしまう病気「肺塞栓症」や,足の皮下の静脈がふくらんでこぶのようになってしまう「下肢静脈瘤」も血管の病気です。

血管の病気(図)1

3.これからの予定

 だんだん日頃よく聞かれる病名がでてきたと思いますが,実際血管の病気には非常に怖い,命にかかわる病気が数多く存在します。しかしこれらの病気の多くは何かのきっかけで発見されることも多く,適切な対処をすれば危険を未然に防ぐことができます。そういった意味で,少しでも血管の異常に関して関心を持っていただきたいと思います。

 次回からは血管の分類で動脈・静脈の2種類,病気の分類で「つまる」・「ふくらむ」の2種類,その組み合わせで4つの項目に分けて少しずつ,できるかぎり簡単にお話しさせていただきたいと思います。やむをえず専門用語を使う場合や,ぜひとも覚えておいていただきたい言葉には下線をつけさせていただきます。 血管の病気(表1)2

4.今回のまとめ

 動脈硬化は老化現象の1つと考えられます。程度の差こそあれ年齢とともに誰もが引き起こす現象です。また,生命にかかわる静脈の病気も増加しつつあります。血管を大切にし,血管の異常を早く発見する知識と習慣は,高齢化の進む日本人にとって,ぜひとも身につけておきたい事でもあります。

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