鎌倉ハイキング

 平成28年6月、梅雨の一休みの中、鎌倉にハイキングに出かけた。家内曰く、山ガールのデビューにふさわしい鎌倉周辺の山歩きコースという触れ込みで、『天園ハイキングコース』(別名鎌倉アルプス)という横浜で最も高い山を経由する全行程約3時間のルートとの事である。山ガールというより山姥(やまんば)と山爺(やまじい)の散策ではあるが、今回はどういうわけか娘とその彼氏も一緒の4人道中であった。

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 朝8時に家を出発して、東横線で横浜に、横須賀線に乗り換えてすぐに出発地点の北鎌倉に到着した。『北鎌倉』というからにはある程度大きな駅を想像していたが、出口は1カ所だけの駅内に踏切のあるような小さな駅であった。人もびっくりするほどは多くはない。道沿いに歩いていると、左側に『明月院』という看板が見えてきた。かの『あじさい寺』で有名なお寺である。ここにはまだ来たこともなかったし、せっかくだから少しハイキングの前に寄っていくことにした。

 山門までの小川沿いの道を右側通行で歩いて行くと、そのうち行列の最後尾に出くわした。どうやらかなり混んでいるらしい。10分も並んでいるとようやく入り口に到達したが、入るのに一人500円かかるらしい。お寺の斜面に沿っていくつかのルートが作ってあり、どれを通って上がっていってもいいらしいのだが、行列になっているので途中で引っ返す事もできない。そのまま、斜面を上がってから下りルートを降りてきた。あじさいも前日の炎天で元気がなく、数えたわけではないが、あじさいの数よりは人の数の方が多いのではないかと思い、この季節の『あじさい寺』は近寄ってはいけない場所だと悟った。

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 その後、又ハイキングコースに戻って、最初のチェックポイント『建長寺』に到着した。地図だと左脇の道をすり抜けて『半僧坊』という所に登って行くようなのだが、地図に出ているスリ抜け道が柵で閉鎖してある。正面から入る必要があるらしい。ちゃんと券売所があってここも一人300円なり。まあ、裏の山道に入る入山料も兼ねているのだろう。 『建長寺』脇を抜けて突き当たりに急な階段があるが、地図によるとここが最初の難関であるらしい。いざ、気合いを入れて階段を上り始めたが、これが意外にきつい。何度か折れ曲がりながら登って行くのだが、途中息は切れるし足は重くなるし、久々に『間欠性跛行』なるものを体感してしまった。でも少し休めば、呼吸は整うし、足もまだ頑張れそうである。日頃の運動が足りなくて鈍ってるだけのようである。

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 ようやく『半僧坊』という場所に到達して一息入れた。景色も絶景なのだろうが、当日は少しもやがかかっていて、おまけに眼もかすんで景色などに見とれている余裕はない。良くは分からないが一気に100m位は登った感触である。『半僧坊』でこれなら、とても坊さんなどにはなれないなと思いながらさらに登ったり、少し下ったりを繰り返しながら、ひたすら木陰の林道を小一時間歩き続けた。木陰はまだそれほど暑くはなく、前日と比較して少し曇っていた事もあり、なんとか横浜市で一番高い所という、『大平山』159mという地点に到達した。どうやらここは鎌倉市ではなく横浜市らしいが両市の境界線上なのだろう。あじさいで思わぬ時間の浪費をした割にはまだ午前11過ぎである。その後、何となく開けた場所を通って、ゴルフ場の脇を抜けて、少し下ったところに本日のお昼を予定していた休憩所があった。(後で気付いたが、そこは『峠の茶屋』ではなく、『天園休憩所』で、『峠の茶屋は』すでに閉店してしまったらしい。)

 入り口に自動販売機が2台あり、その奥にベニヤ板で組み立てたようなテーブルと木製ベンチがあって、ようやくゆっくり腰を降ろして座ることが出来た。名物?の『おでん』と『とうふ汁』と『おにぎり』を頼んで、待つこと30分、いい加減忘れられたかと思う頃に、やっと昼食にありつけた。『おでん』?の中にうどんが入っており、メニューの張り紙をよく見ると小さく赤字で『うどん入り』と書いてあった。『おでん』という字も達筆で、よく見ると『おどん』と読めなくもない。『とうふ汁』も『おでん』との違いがよく分からない物で、味はやや薄味だったが、一汗かいた後の空きっ腹にはおいしかった。

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 食後は腹ごなしをかねて、相変わらずのでこぼこ山道をひたすら下るのであるが、横は崖であったりして、落ちても死にはしないだろうが、骨折くらいは覚悟の下山であった。いい加減足もがくがくした頃に木陰を抜けるといきなり舗装された道路に出た。そこから『瑞泉寺』の山門を横目に見ながらさらに鎌倉宮まで下るのであるが、途中の道端のあじさいがきれいで、ひょっとして『あじさい寺』よりきれいだったかも知れない。大学生の頃、鎌倉に住む友人に『瑞泉寺』が『あじさい寺』だと教わって長い距離を歩いて、結局間違いだと分かって文句を言った覚えがあるが、『瑞泉寺』そばの道端に咲くあじさいは人波に邪魔もされないし写真も撮り放題だし、この時期にあじさいを見るにはここに限ると思った。(これは個人の感想です)

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     その後、舗装された道路をのんびり歩いて最後は『鶴岡八幡宮』に出て、鳩サブレーで有名な豊島屋の直営喫茶で一服した後、小町通りを通って『鎌倉駅』に到着した。小町通りの混み具合も半端ではなく、出発が『北鎌倉』であったのは正解だった。鎌倉散策も3回目位になると、要所要所の大体の位置関係は頭に入ったし、距離感覚もつかめてきた。ただ、時間の関係で『鎌倉大仏』に行けなかったのが少し残念であった。

富士山すそ野ぐるり一周ウォーク(第1回)

 事の初めは富士山が世界遺産に登録された時からである。家内との会話で、「一生に一度は富士山に登っておかなければね」というのは何年も前から話には出ていたが、登るとしたらいわゆる『弾丸登山』を敢行する自信がない人は泊まりがけということになるらしく、これまた実行するにはかなり勇気がいる。それに、世界遺産に登録された今となっては、季節も季節だしものすごく混んでいるだろうというのが一般の予想である。 もともと、運動と言えば毎日朝晩の犬の散歩ぐらいで、もちろん雨の日はお休みであるし、朝寝坊したときはショートカットコースを大急ぎで回るくらいのものなので、犬も含めて完全に足腰は鈍っている。 年に一度位、遠出と称してハイキングに出かけることもあるが、鎌倉散策の時も、高尾山に登った時も、翌日は筋肉痛が生ずるものの、その後の1週間位は体が軽くなったようで、いかに日頃の運動が足りないかを思い知らされる。

 そういった折、家内が『富士山すそ野ぐるり一周ウォーク』なるものを見つけてきた。ネットで検索したものか、どこぞでパンフレットでも貰ってきたのか知らないが、富士山のすそ野、全長153キロを全17回に分けて一周する歩き旅らしい。もちろん現地(出発・到着地点)まではバスでの往復であるが、そこで毎回約8~9kmを富士山を仰ぎ見ながら歩くのである。1回あたり距離的にみて、正味2時間~2時間半くらいの歩行であろうか。これなら、年に1回行っている遠出とあまり変らないし、参加してみる方向に少し気持ちが傾いてきた。今年は夏が長く、まだ決してハイキング日和とはいかないが、連休も多いことだし、まあ初回だけでも参加してみようかということになった。断っておくが、あくまでも家内の方が乗り気であって、私の方はついて行く程度の事と考えていた。いつの間にか私用に大きめのリュックサックが買われているし、どうやら家内の小さなリュックに入らない弁当や水筒を入れて私に持たせるためのものらしい。

富士山すそ野一周マップ

 当日は横浜からバスが出たが、集合地点でまず思ったのは、女性の参加がすごく多く7~8割方女性と言ったところか。平均年齢はたぶん60才半ばと言ったところで、我々アラ還60前は、むしろ若い部類に属すると思われた。

 大型バスほぼ満席の44名の参加者によるバス旅は、横浜新道、保土ケ谷バイパスを経由して東名高速を走り、御殿場インターから138号を通って富士吉田まで続いた。 第1回目のスタート地点は北口本宮富士浅間神社であるが、行きのバスの中で既に当日のコースの資料(といっても簡単なコピーだが)をもらって説明を受けており何の問題もなかった。ただ、途中で配布されたガイディングレシーバーなるものの調子がすこぶる悪かった。携帯電話くらいの大きさにイヤホンが付いたいわゆる一方通行のトランシーバーなのだが、家内のものが20m位離れてもガイドの説明が聞こえるのに、私のものは5mも離れると音が途絶え、しかも間に人が入るとほんの2~3mでも音が聞こえない代物であった。通信はデジタルらしく聞こえるときはブチブチいっても何とか言葉の判別は出来るが、聞こえないときは全くだめであった。どうやらハズレを引いてしまったらしい。予備のものはないらしく、発信器(ガイド)の方の電池を入れ替えたので様子を見てほしいとの事であったが、まあ私に言わせればこれは電池の問題ではない。センター試験でも英語のヒアリングでレシーバーの不具合で良く聞こえなかったという話があるし、昔はこんなものはなくて、ガイドの話をちゃんと聞きたければガイドのそばに行けばいい話であるし、あまり問題にしなかった。というより、なんとかひめのみこと(失礼に当たるといけないので正確には木花開邪姫命)などの話より、富士山がどう見えるかの方が重要であった。

 ところが、歩けども歩けどもいっこうに富士山は見えてこない。台風の遠巻きの雲による前日の雨はすっかり上がって、当日は雲の隙間から時々日が差す位の天気で、もしかしたら雲の隙間からきれいな富士山が見えるのではと期待していたが、結局富士の全体像は見えずじまいであった。唯一忍野八海を回ったときに、庭園から一瞬裾野と山頂がわずかに見えた程度であった。まあ、最初から絵に描いたような富士山を見ると言うのも虫のよい話ではある。何せ霊峰だし、世界遺産なのである。

どれが富士山?

 ウォーキングに関しては最初、他の参加者で脱落者が出るのではないかと心配したが、昼食を挟んで午前午後歩いて、結局全員が完歩できたし、最終的には足が張って限界に達している自分もその中にいた。

 帰りはバスで『紅富士の湯』という温泉施設に寄り、温泉にゆっくりと入って汗を流した。その後、家内の長湯を待っている間に大宴会でも開けそうな大広間の畳の上にくつろいでビールを飲み肉うどんを食べた。久しぶりに昔ゴルフに行ってあちこち走り回って、一風呂浴びた後の打ち上げの一杯の爽快だったことを思い出した。心地よい疲労感が何ともいえなかったが、畳の上で寝転がると下腿は今にもつりそうであった。これくらいのウォーキングで最後はこのありさまである。日本映画の『たそがれ 清兵衛』での一コマを思い出した。「いかん。なまっとるのう。」