電子カルテ導入記(1)

 当院の電子カルテは2代目である(2台目ではない)。当初レセコン一体型のものを使っていたが、途中レセプト電算化などといった時代の波にもまれて、契約会社から追加料金の提案、おまけにOSが変ったらデータベースの仕組みが変るからシステム毎替えなければならないというような話もあり、今までの顧客をないがしろにするこの姿勢に不安を覚え早々に撤退した。 昨今の電子カルテというものは、大手の機器メーカーが大病院向けのシステム開発にかまけて、小さなクリニック向けの開発に遅れたために、それこそ大変な事になっている。何十というソフトが出て、それぞれに特徴を出そうとしているが、結局私から見れば、どれもまだまだ発展途上のものか、レセコンに毛が生えた程度のものと考えている。最近になってようやく大手のメーカーが進出し、また、低価格を売りにしたものも出現し、次第に整理されつつあるように感じるが、まだまだ我々の痒いところに手が届くようなものは出現しない。レセコンに毛が生えたものに徹するなら、レセコン一体型の電子カルテの方が使い勝手がいいに決まっている。

 ではどうして電子カルテを替えたかというと、先ほども述べたように、今の電子カルテというものが過渡期のものであり、ちょっとしたバージョンアップや変更で費用がかかっていては、あまりに効率的でないと考えたからである。そうなると、出来るだけ安上がりで済むものを探すことになるが、レセコンでは日本医師会がORCAというシステムを提供している。ひいき目に見ても使いやすいものではないし、GUI(操作画面)なども一昔前のシステムを思わせる。でも、多くのクリニックがORCAに乗り換えてきている現状を見ると、使い勝手よりも出費を削りたいのが本音であろう。度重なる診療報酬改定に加えて、日々進歩する医療への対応や重点分野への配分など、どう見ても複雑すぎる。おまけに交通外傷・労災など、やっている医療とは別に請求という作業が、あまりに複雑になりすぎて事務員の負担になっている。とても人力では作業をやっていけないし、大手のレセコンやレセコン一体型電子カルテで多額のお金を毎月払うよりは、少し不便でも維持費の安いORCAで済ませようというのが大半であろう。 高齢化により社会保障にかかる予算が急上昇しており、それを抑えるための診療報酬の引き下げでクリニックの経営も限界の域に達している。というより日本の医療保険制度を現在の出来高払いにしておく事自体が、もう限界に達しており、何とか無駄を省いていくことを考える時代になっていのではないかと思う。かといって、ITを利用して現在の医療の無駄を省くなんて発想は医療サイドからは絶対に出ないであろう。なにせその無駄を削る事自体が、自分の生活の糧を削ることに他ならないからである。

 話がグチになりそうなので元に戻すと、3年前に当院はORCA連動型の@homeDrという電子カルテを導入した。もともとORCAでレセコン業務をしていたわけではないので、ちょっとした冒険ではあったが何とか使いこなせてはいる。月々の費用は半額とまでは行かなくても従来の3分の2位で押さえられている。ORCAとの連携部分に多少の弱点はあるが、逆にORCA使いでない医者でも何とか入力から会計までもって行ける点では満足はしている。何しろ弱小企業の当院では、新患や健康診断や電話問い合わせが重なって受付や看護師がパニクっている時は、一番暇なのは私だったりするのである。

 今後、その使い勝手の紹介もかねて、数回に分けて電子カルテ関連の事を書き留めておこうと思う。画面のコピーや動画を入れておこうと思っているのだが、操作画面の動画を記録するのにカーソルがうまく記録できなかったり、いろいろ難しい面もあって、もう少し時間がかかりそうであるが、記録しているうちに思わぬ発見があるかも知れない。3年も使っていると少し電子カルテの作り込みにも飽きてきたところなので、大改装もかねて記録しておこうと思う。物忘れもひどくなって来たことだし。

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