8月の夏期休診

  8月の夏期休診(お盆休み)を使って、当院の診療関連で二つの変更を行った。一つはレントゲン検査システムのパソコン更新ともう一つは診察券の更新である。


 レントゲン検査に関しては8年前に、何とか院長を説得してCRに切り替え、その後8年間大きなトラブルもなく維持できて来たのではあるが、検査データがたまってくるとともにパソコンも少しもたつきはじめ、おそらく不具合が生じたときにはシステムごと買い替えを迫られる可能性が高くなった。
 車を買い替える時に、調子が悪くなって買い替えるのと、もう少し乗れるが、まあ替えてもよかろうというのでは、売り手・買い手の立場が少し変わってくる。今回何とか準備した予算内で収まることになって、診察室2か所と撮影室の3台のパソコンとシステムを新しくした。久しぶりに院内のLAN環境を整理して、つくづく複雑なことになってしまったことに気付いた。電子カルテ・レセコン・レントゲン・心電図が複雑にLANでつながっていて、しかも一元管理できていないのである。その都度システムを追加構築してきた自分も悪いのであるが、IT化に取り組み始めた10年前にはまだ院内の診療データを一元管理できるようなシステムは存在しなかった。というより、そういうシステムはあったかも知れないが、一診療所で組み上げるには予算が許さなかった。今でこそ、レントゲン検査や超音波検査や心電図検査のデータが一元管理できるようになってはいるが、これとて、もともとついている機能ではなくオプションで組み込まなければならない。
 結局、電子カルテと電子画像ファイリングの二つで、診療データをカバーするというのはあきらめた。紹介状や患者さんが持参したデータをスキャナで取り込んで管理するのは電子カルテ、レントゲン検査データのパソコンには何とか内視鏡検査データを取り込み、心電図は別の心電図用パソコンで管理することにした。おかげで、診察室の机にはいまだにモニターが3台屏風のように立っている。

 診察券に関しては、これまで名刺よりやや大きめの紙の診察券をビニールのホルダーに入れて渡していた。しかも年に1回新しいものに更新していた。しかし時代とともに、この診察券は財布に入らない、保険証やクレジットカード並みの大きさにしてほしいというような要望も出て、このたびプラスチック製のカードに変更した。今でこそクレジットカードはICチップの埋め込まれたものになったが、ひと昔前のクレジットカード並みに磁気テープ部分も表につけた。カルテ番号を記録しているだけなのであるが、患者さんによっては「マイナンバーのための準備ですか?」などと尋ねて来る。磁気カードリーダーを通すと患者番号をレセコンに入力できるのであるが、6ケタのカルテ番号などはそのままテンキーで入力した方が早い。いまだに磁気カードリーダーは使われないままでいる。せっかく休みの日に秋葉のパーツ屋で1台数百円で調達してきたのであるが、受付の隅でほこりをかぶっている。患者さんに問われて受付嬢も堂々と「上のこげ茶色のストライプは飾りです。」と答えている。
 
 ちなみに、かっこいいので名前の前にQRコードも印刷しているが、これは個人情報が記録されたものではなく、当院のホームページのURLを仕込んである。でもこれをスマホで読み込む人なんていないであろうし、後期高齢者の患者さんにとっては飾り以外の何物でもあるまい。結局受付でも新しい診察券に対するお褒めの言葉と言えば、「やっと財布に入るようになって良かったです。」くらいである。やはり素人がデザインするとどうも気の利いたものは作れない。もっともデザインが模倣でないことには自信がある。

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