電子カルテ導入記(3)

 電子カルテ(@homeDr)を導入するときに最初に難関となるのは、やはりカルテの『作り込み』であろう。元になる診療報酬体系や簡単なシェーマなどは入っているが、実際に1個人診療所で行う検査や処置や手術といったものは、それほど多くはない。処方する内服・外用にしても数百が関の山であろう。そうすると、その使い慣れた薬やいつも行う処置などは簡単に入力出来た方が良い。昔は、下の写真にあるようなゴム印を作ってカルテに押していた。

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 当時は院内処方であったし、処方できる薬も院内にあるものに限られていて、一部だけ院外という処方が出来ないために、そういった運用で何とか診療できていた。しかし現在は、診療が多様化するとともに、診療が終わって会計時にはその時のレセプト内容が完結していなければならない。しかも、患者さんの要求も多様化し、なかなか難しいことも要求される。「総合病院にかかっているのだが、ある薬だけが数日分足りないので出してもらえないか」、「他の病院で出してもらったこの薬が良く効くので出してもらえないか」等はまだ良い方で、あまりなじみのない神経科系統の薬のリストを持ってきて、「今日処方される薬で、これらと相互作用のあるものはないか?」といったものに関しては、かなり労力を取られる。院外処方なので、「それに関しては調剤薬局で聞いてくれ」と言っても良いのだろうが、薬局にしてみれば自分のところで処方していない薬との相互作用を質問されても機械で自動チェックできず、結局は労力を消費することになる。まあ、本人が『かかりつけ薬局』というのを決めていて、薬のことは何でもそこで相談するようにしてくれていれば良いのだが。医薬分業というが、医薬間で情報のネットワークがあって初めて分業がなり立つのではと思う。

 話を元に戻すと、例の薬や病名のゴム印であるが、これは電子カルテでも同様の事が行われている。自分のよく行う検査・処置・手術・薬剤などは、すべてワンクリックでカルテに入力される。登録していない薬剤などはその場で登録できるし、当院の場合は診療中に適当に登録しておいた薬剤は、いつの間にか看護担当がアイウエオ順に整理しておいてくれる。さすがに効能別分類まではやってくれないので、効能別に関しては殆ど手つかずになってしまっている。セット入力といって、『上気道炎(1)』、『上気道炎(2)』といったセットで何種類かの薬を組み合わせて一度に入力できる様にしたことがあるが、考えてみれば種々の症状や年齢・体格で微妙に処方を変えているし、結局セットで薬剤を処方する頻度は少ないようである。まあ、創縫合セットなどは作っておけば手術から処方まで一度に入力してくれて非常に便利である。この点から見れば、眼科や耳鼻科で行われる検査・処置・手術などが非常に電子カルテ向きなのかも知れない。

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 こういった電子カルテにおける検査・処置・手術・薬剤などの登録と整理は日々必要に応じて行わなければならず、これに精通した人員がいないことには本格運用は難しいであろう。ただ、これは診療画像や発行文書の管理も同様で、一度は自分で登録して使いやすいものに仕上げなければならない。これが『作り込み』なのである。WEB経由で必要なセットやシェーマや文書書式を自由にダウンロードして使える様な仕組みや、はたまた各部のレイアウトまでも『スタイル』と称して(例えば『眼科スタイル』、『内科スタイル』)変えられるようなものが出来ればおもしろいかも知れない。この文章を載せているWordPressというブログ作成ソフトも様々なスタイルや組込ソフトが公開されていて飽きさせない。

 結局、IT化とともに診察室からなくなったものと言えば、レントゲンフィルムを見るためのシャーカステン(これは診察室でバックライトの付いた掲示板となって余生を過ごしている)、病名・薬剤の印鑑とケース(ただし院長はまだ現役使用中)、水銀血圧計(水銀の回収とともに廃棄処分となり電子血圧計となる)等であり、それに代わってパソコンの液晶画面が机の上に屏風のように立っている。

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 患者さんに近いところからレントゲン写真用(普段はカレンダー表示)、真ん中に電子カルテ(切り替えでWEB接続用パソコンを表示)、一番端にORCAのサーバー(切り替えで院内監視カメラ画面を表示)となっている。液晶モニターが多いようであるが、こんな風景は証券会社やちょっとした情報センターでは当たり前であり、そのうちに診察机の天板そのものがタッチ式の液晶画面となり、手前で操作してちょっとはじくと目の前の液晶画面の任意の場所に張り付くような時代になるのであろう。邪魔なキーボードやマウスもなくなり、広々とした手前のテーブル液晶画面で作業をしているのではないだろうか。

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