男乗り・女乗り

これまで乗っていた自動車を息子に引き取ってもらった。6年位前に買った車であるが、まだ4,000km位しか走っていない。駆動用のバッテリーがあってモーターで走るのだが、エンジンでの走行も可能で発電機にもなって、実に災害向けの車である。駆動用バッテリーだと1回の満充電で数十キロしか走らないが、都内で乗る分には十分である。しかもモーターでの走行のレスポンスが良く、PWR(パワー)モードにすると飛行機並みの加速(大げさか?)が味わえる。

別に車に飽きたわけではないが、夫婦そろって何があってもおかしくないような年齢になってくると、夜中でも駆け付けたり搬送したりしてもらう状況にならないとも限らない。それに老夫婦がそれぞれに車を持っていてもおかしい。すでに互いを気遣いながらの生活に突入しているのだから、車なんて1台あれば充分である。『俺が赤い車でもいいじゃないか!』なんて思いながら、息子に緊急時の搬送係を期待している。

でも、ちょっとした出かけに、『歩いていくのかぁ。』なんて思うこともある。歩いて20分くらいの距離でも、だんだん面倒になってきた。前にちょっと離れた養護施設の方に、『ここまでどうやって来たの?』って聞くと、『チャリで来ました。』ってこともなげに話される。『だって、あそこ坂になってない。大変でしょう?』って聞くと、最近は電動自転車が当たり前で、近くの『なべころ坂』なんか問題ないらしい。ここで頭にひらめいて、『そうね、これからは自転車だね。電動のアシストを加減して少し負荷がかかるようにすれば、足腰の強化につながるかもしれない。』と思った。

早速、得意のヨドバシで検索して頼んでしまった。最近はアマゾンかヨドバシって言うのが自分の定番になっている。おまけに予備のバッテリーを追加で頼んだら、当院の看護師に『予備なんかいるんですか?そんなに乗らないでしょう?』なんて言う。この手の指摘は、たいてい看護師の方の読みが当たっている。それはともかく、週に1回の養護施設の回診はこれで行くことになった。

4月に努力義務化する前からちゃんとヘルメットも注文して、これにはかっこよく見せるために小さいのを買って頭が入らずに難渋したが、律義にかぶって往復している。普通はつま先立ちでちょうどいい位置にサドルを合わせるらしいのだが、何しろ自転車が重くて踏ん張れないので、一番低い位置に合わせてべた足がつくようにした。電動アシスト自転車は助走がいらないので、最初にまたがればいいだけなのだが、後ろに足を跳ね上げて乗るいわゆる『男乗り』をしようと思って足を上げたら、後ろの荷台に足が引っかかるのである。思わず転倒しそうになった。しょうがないので、前から足を回すいわゆる『女乗り』をしようと思ったら、これも車体に足が引っかかるのである。相当に股関節と膝関節の関節可動域が狭くなっているらしい。転ぶとみっともないので、乗るときは周囲に人がいないのを確かめて乗ることにした。

それと、うっかり電動アシストのスイッチを入れないで漕ぎ出したときに、余りの重さに何度も転びそうになった。よく、バッテリーが切れて重かったなどと聞くが、こんなものバッテリーが切れた状態で乗れるものではない。ちょっと広いところで運転の練習やいざというときの咄嗟の動作を訓練しなければ危ない予感がする。少なくとも自分で転んでみっともなくても、他人に迷惑はかけないようにしようと思っている。『自転車は自分で転ぶもの』と肝に銘じておこう。

電動アシスト自転車と言えども、若いころから乗り慣れていないといけないものだと思った。

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